FXにおける為替相場を予測する方法として、ファンダメンタルズ分析があります。
ファンダメンタルズ分析は、国や企業の本質的な価値を理解できる指標で、将来の相場予測を立てるのに有効な方法です。
そこで、今回はFXにおけるファンダメンタルズ分析について、特徴やメリットを具体的に解説します。
FXのファンダメンタルズ分析とは?
FXにおけるファンダメンタルズ分析とは、経済指標や政治、要人発言などさまざまな角度から相場の動向を分析する手法のことです。
基本的に景気が上向けば相場も上昇し、反対に景気が下向いているときには為替相場が下落しやすいことをもとに分析されます。
とくに重要視されるのはアメリカの金融施策や経済指標で、基軸通貨となるドルの相場に大きな影響を与えることで、他通貨にも影響があるので注目視されています。
ファンダメンタルズ分析を利用するには、基本となる政治情勢や金融施策を理解するのはもちろん、日々更新される海外の情報収集も重要です。
ファンダメンタルズ分析で重要な要因
ファンダメンタルズ分析で重要になるのは、以下の4つです。
それぞれの内容について、具体的に解説していきます。
経済指標
ファンダメンタルズ分析で重要になる指標のひとつに、経済指標があります。
経済指標とは、各国の政府や中央銀行が発表しているデータで、多くの投資家がチェックしている項目です。
FXでも経済指標が発表される前後に大きな値動きが起こることが多く、初心者でも発表時間だけでも把握しておくことが重要です。
経済指標はFX会社の提供する経済指標カレンダーで無料でチェックでき、業者によっては重要度も記載されているので確認しておきましょう。
ファンダメンタルズ分析を表すデータの中でも速報性が高く、中長期的に大きな意味があることもあり本質的な価値を図るデータとなります。
金融政策
金融政策とは、中央銀行が物価や経済の安定のために金利や通貨の供給量を調整することで金融面からの経済政策を行うことです。
金融政策の中でも、とくに政策金利(中央銀行が設定する短期金利)の調整が大きく注目されています。
物価の安定を実現するため、金融政策では利上げや利下げを行うことで景気の過熱や失速を防ごうと動きます。
一般的には、景気が過熱すると利上げ、景気が悪化すると利下げを行い、家計・起業の消費や投資増加による景気回復が目的です。
要人発言
FXにおける要人発言は、経済指標と並んで速報性の高いデータとして値動きを見せやすいのが特徴です。
要人とは、各国の政府や中央銀行の主要ポストに就いている人で、金融政策や財政政策にも大きな影響を与える人のことを指します。
要人の発言によって景気の現状や見通しが明らかになることで、今後の為替相場にも大きな影響を及ぼすのでチェックしておく必要があります。
要人発言は突発的に起こることも多いですが、経済指標の発表のタイミングに合わせて実施されるものもあるので取引をする前には1日の経済指標のスケジュールを確認しておくと良いでしょう。
紛争や諸国間でのトラブル
各国の紛争や諸国間でのトラブルも、為替相場に影響を及ぼします。
トラブルを抱えている国や地域は、経済的に不安定なことが多いので取引を行う通貨の価値にも影響が出てきます。
トラブルを抱えている場合は長年の問題となっているケースが多いので、取引をスタートする前に取引をする通貨の国のリスクや背景を確認しておくことをおすすめします。
ほかにも、リーマンショックやコロナウイルス、大規模な地震や血風といった自然災害のリスクもトラブルとして挙げられます。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の違い
ファンダメンタルズ分析と双璧となるテクニカル分析は、基本的にチャートを見て価格や値動きのサイクルに注目する分析手法のことです。
FXのチャートを分析することで、売買のタイミングのサインを読み取ることができ、初心者でも使いやすいのが特徴です。
短期的にトレードを行う場合にはテクニカル分析でも問題ありませんが、正確に相場を分析して中長期的に利益を上げるにはファンダメンタルズ分析もできると勝率も上がる可能性が高まります。
しかし、FX初心者が最初からファンダメンタルズ分析を行うには、知識や読み取るべき情報量が多く難しいことが多いのは事実です。
そのため、初めはテクニカル分析を行いつつ、徐々にファンダメンタルズ分析にも慣れていくことをおすすめします。
ファンダメンタルズ分析で抑えておきたいポイント
ファンダメンタルズ分析で抑えておきたいポイントについて確認しておきましょう。
重要度の高い経済指標をチェックする
ファンダメンタルズ分析を行う場合には、まず重要度の高い経済指標をチェックしましょう。
最初は経済指標は数も多く意味もわかりづらいものなので、FX会社の提供する経済指標カレンダーに記載されている需要度を参考に、注目される指標は逃さずチェックすることがおすすめです。
例えば、アメリカの「雇用統計」が発表されるタイミングでは大きく値動きすることが多いので、発表時間は把握して取引することが重要です。
選挙の動向を確認しておく
大統領選挙の結果は、金融市場のみではなく、世界的な政治・経済に大きな影響を与えます。
とくに2024年は各国で選挙が多く、注目を集めています。
2024年に入ってから欧州議会選挙、フランス議会選挙が開催されているほか、下半期にも日本の自民党総裁選、アメリカの大統領選挙なども予定されています。
その中でも、アメリカは世界最大通貨であるドルの相場に大きな影響を与えるので、チェックしておく必要があるでしょう。
ファンダメンタルズ分析を行うときの注意点
ファンダメンタルズ分析は戦略を考える上で重要な分析手法ですが、注意点もあるので覚えておきましょう。
短期的な分析には向かない
ファンダメンタルズ分析のほとんどは中長期的に相場を与えることもあり、短期的な取引には向きません。
経済指標や要人発言など、すぐに相場に影響する指標もありますが、ほとんどは中長期的に相場に影響することが多いです。
そのため、短期的なトレードを行う場合には、テクニカル分析と組み合わせて戦略を考える必要があります。
為替相場に必ず影響するわけではない
ファンダメンタルズ分析を行う上で、さまざまな情報を確認しても、すべての要素が為替相場に影響を与えるわけではありません。
相場に直接的に影響するのは経済指標と要人発言ですが、すでに市場に織り込み済みの場合もある点には注意が必要です。
どの経済指標や要人発言が影響するのかは、過去のデータを見ながら適切な知識を身につけて必要な情報だけをピックアップできるようにすることが重要です。
情報収集や分析に時間がかかる
ファンダメンタルズ分析を投資に利用する場合、さまざまな指標やニュースをチェックする必要があるので時間がかかるというデメリットがあります。
そのため、家事や仕事で忙しい人には、時間が取れづらくハードルが高く感じることもあるでしょう。
情報の内容も有価証券報告書や決算書といった専門的な書類についても理解しておく必要があり、初心者には難しいと感じるかもしれません。
まとめ
今回は、ファンダメンタルズ分析について、特徴やメリット、確認しておくポイントについて紹介しました。
ファンダメンタルズ分析を活用することで、投資先の国や企業の本質的な価値を知ることができ、投資のリスクを適切に管理しやすくなります。
短期的なトレードではあまり適していませんが、中長期的にトレードをしたい人にとっては覚えておいて損はありません。