FXでは数多くの詐欺行為が報告されていますが、中には代理店詐欺と呼ばれる大規模な詐欺もあるので注意が必要です。
そこで、今回はFX代理店詐欺の特徴や手口について紹介します。
FX代理店詐欺とは?
FX詐欺とは、SNSやマッチングアプリ、電話などで勧誘するユーザーを見つけ、紹介料やシステム利用料など、FX投資にまつわる口実で金銭をだまし取る行為のことを指します。
FX詐欺は収益実績や契約書など、本物の契約と見間違えるような手の込んだ手法が多く、SNSやマッチングアプリなどの発達で大学生や20代など投資に詳しくない若年層まで被害が拡大しています。
その中でもFX代理店詐欺は、いくつかの代理店を置く、代理店を名乗るなど、信頼感を与えることで大規模な詐欺行為が行われているのが実際のところです。
詐欺師は自らを投資のプロや美男美女であるかのように装い、積極的なアプローチで信頼感や恋愛感情を抱かせるなど、さまざまな手口を使って勧誘してきます。
そのため、一度もあったことのない人物からFX投資に関する儲け話を持ちかけられても、安易に乗らず、信頼できる人間に相談したり、詐欺の相談窓口に相談するようにしましょう。
FX代理店詐欺の手口
FX代理店詐欺でよく使われる手口を5つ紹介するので、騙されないように確認しておきましょう。
口座へ証拠金を入金させる
FX詐欺で最も典型的な手口として、口座へ証拠金を入金させることが挙げられます。
手口としては海外のFX業者で口座開設をさせた上で、証拠金を口座に入金するように勧めてきます。
さらに口座開設のための前金や税金、手数料などさまざまな口実でお金をだまし取られることも多いです。
詐欺業者は怪しい金融機関と共謀しているため、実際に入金したあとは出金ができなくなるほか、そのまま連絡がつかなくなることもあるため、注意が必要です。
高額なセミナーや塾への勧誘
FX初心者を中心に、高額なセミナーや塾への勧誘をする詐欺行為も行われています。
「セミナーに参加すれば必ず儲かる」などの誘い文句で高い参加費用を要求してきますが、多くのケースでは少し調べればわかるようなFXの基本情報のみで、高額費用を払うような情報や裏技を教えてくれるわけではありません。
中にはセミナーは無料、その後の塾や情報商材を高額で売りつけてくるなど、さまざまな手法で勧誘してくることもあります。
初心者は情報や知識がないため騙されたことにも気づかないことが多いので、あまりに高額な費用を請求される場合は利用する前に一歩踏みとどまることをおすすめします。
架空の自動売買ツールの販売
FX代理店詐欺では、架空の自動売買ツールを売りつけるといった詐欺行為も報告されています。
FXの自動売買ツールは取引を自動化できるシステムのことで、システム自体には違法性はありません。
また、当然自動売買ツールは必ず勝てるという確証はないですが、詐欺師は都合のいい利益だけを提示することで高額で売りつけてくるので注意が必要です。
例えば、「勝率90%以上」「必ず儲かる」といった誘い文句で購入をせまってくるほか、「無料体験」「モニター当選」などを理由に個人情報を抜き取るケースも報告されています。
代理店詐欺の詐欺師の特徴
代理店詐欺ではSNSやマッチングアプリ、電話などさまざまな方法で詐欺行為が行われています。
しかし、勧誘してくるアカウントや装う人物には一定の特徴があるので条件に当てはまる人から勧誘された場合はより注意するようにしましょう。
魅力的な美女や外国人を装う
FX詐欺では、魅力的な美女や外国人を装って投資話を持ちかけるケースが多いです。
実際は、美女でも外国人でもなく、写真を悪用して対象者がほしい言葉や恋愛感情を抱かせるような言葉で惑わせてきます。
美女や外国人に共通するのは、会ってもいないのに「FX投資の話を持ちかける」「一緒に生活するためにFXで稼ごう」など、FX投資や関連する商材を購入させようとしてくることです。
入口が投資ではなく恋愛感情や好意を抱きやすい相手ということもあり、通常は騙されない人も信じやすい方法なので注意しましょう。
成功者や信頼性の高い職業
詐欺師は、成功者や信頼性の高い職業であることをアピールして、投資へのハードルを下げたり安心感を持たせるように装ってくることもあります。
例えば、女性なら「客室乗務員」「看護師」、男性なら「医師」「弁護士」など、社会的地位のある人物を装って話しかけてくるので、このような職業の人から「儲け話」を持ちかけられた場合は詐欺の可能性が高いです。
また、高収入で豪華な生活をアピールするなど、「海外旅行」や「ブランド物の写真」などの投稿をしてアピールする手法も多くみられます。
実際には写真が使い回しされていることも多く、簡単に加工することができるため、このような写真や投稿を信じないようにしてください。
FX代理店詐欺の実例
実際に、FX代理店詐欺で摘発された例を2つ紹介します。
2024年2月:スカイプレミアムインターナショナル
2024年2月、スカイプレミアムインターナショナルが、全国に12の代理店を置いて無登録でFX取引の投資詐欺を行ったと摘発されました。
シンガポールに拠点を置いて活動し、日本では全国に12箇所、約500人が代理店に所属。
中には銀行員、客室乗務員など社会的に信用の高い職業の勧誘員も存在したと言われています。
被害者は47都道府県で約2万6,000人、過去最大規模の約1,350億円を集めたとされ、東京や大阪、神奈川など都市部に集中して詐欺行為が行われていました。
ここまで被害が拡大したのには巧妙な手口が関係しています。
勧誘方法は「高い利回り」「長期間の運用実績」をネタに「いつでも出金可能」ということをアピールし、一部には出金対応もしていたことから、信用を得て被害拡大につながったと見られています。
2021年4月:ライズリンク
2021年4月、ライズリンクが架空のFX取引の詐欺を行ったとされ、大阪府警に摘発されました。
「必ず儲かる」など言葉巧みに入金をそそのかし、被害総額は2億円、被害者は約700人にも及びました。
手口は「FXの自動売買システムのモニターに当選した」と電話をかけ、「元本は減らない」といううたい文句で勧誘していたとされています。
犯行に使われたソフトは正規のFX取引でもよく使われており、登録者に表示される口座残高などの数値を改ざんすることで証拠金を運用しているように見せかけるなど、巧妙な手口によって行われています。
摘発されたのは別の詐欺事件で関連先を調べていたところ、押収した資料から犯行が発覚しています。
まとめ
今回は、FX代理店詐欺について、手口や実例について紹介しました。
FX代理店詐欺は、代理店を名乗る業者や実際に代理店を設けることで、信頼性を高めるため大規模な被害につながりやすいという特徴があります。
最近ではSNSやマッチングアプリなど対象者にアプローチする方法が増えたことで、一度も会わずに詐欺が完結してしまうことも少なくありません。
そもそも本当に儲かる話であれば、SNSやマッチングアプリなどで知り合ったばかりの他人にわざわざ教えることはないでしょう。
FX詐欺に巻き込まれないためには、一度も会ったこともない人に送金したり個人情報を提供しないことが重要です。