取引ごとに発生する「スプレッド」は、そのまま手数料としてかかるためなるべく狭いほうが良いです。
単純なスプレッドの狭さでいうと国内FXのほうが有利ですが、中には海外FXのほうがスプレッドが狭い業者もあり、海外FXと国内FXのどちらを利用すべきか迷っている人も多いでしょう。
そこで、この記事では海外FXと国内FXのスプレッドの違いや、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
スプレッドとは?
FXのスプレッドとは売値と買値の差額を指している、実質的な取引手数料のことです。
FX取引で使われる為替レートには売値(Bid)と買値(Ask)の2つがあり、この売値と買値の格差のことをスプレッドと言います。
例えば、売値が150円、買値が150.001円の場合、差額「0.01円」が取引コストとなりますます。
FX会社や通貨ペアごとにスプレッドは異なり、スプレッドが狭いほど利益を出すのには有利な環境と言えるでしょう。
一般的にスプレッドが広い業者はボーナスキャンペーンがなく、スプレッドが狭い業者はボーナスキャンペーンが豊富なのが特徴です。
ボーナスは業者負担のサービスのため、その金額を回収するためにスプレッドが広い傾向にあります。
そのため、業者を選ぶときにはスプレッドかボーナスを重視するのか、自分のニーズに合わせて選ぶと良いでしょう。
海外FXと国内FXのスプレッドの違い
海外FXと国内FXのスプレッドには、大きく以下の3つの違いがあります。
それぞれ確認していきましょう。
スプレッド単位
スプレッドを表す単位として、海外FXでは「pips」、国内FXでは「銭」を使用しています。
それぞれの金額を表した表は、以下の通りです。
海外FX業者 | 国内FX業者 | |
0.01円 | 1pips | 1銭 |
0.1円 | 10pips | 10銭 |
1円 | 100pips | 100銭 |
1円を表すときには「100pips」もしくは「100銭」になり、FXではよく用いられるので覚えておくと便利です。
スプレッドの仕組み
海外FXと国内FXのスプレッドの違いは、スプレッドに流動性があるかどうかです。
国内FXは「固定スプレッド」を採用しており、基本的には一定のスプレッドが維持されています。
一方で、海外FXは「変動スプレッド」を採用している業者が圧倒的に多く、常にスプレッドが変わる環境です。
ただし、海外FXのなかでもIronFX、FBS、easyMarketsといった一部の業者では、口座によって固定スプレッドに対応しているケースもあります。
口座タイプ
国内FXは基本的に1つの口座を使ってトレードしますが、海外FXでは複数の口座タイプが用意されています。
海外FXは口座によってスプレッドも大きく異なり、主に基本となる「スタンダード口座」と「ECN口座(スプレッドが狭い口座)」を提供していることが多いです。
スタンダード口座 | ECN口座(低スプレッド口座) | |
注文方式 | STP方式 | ECN方式 |
スプレッド | 普通~広い | 狭い |
取引手数料 | 無料 | 1ロット4ドル~ |
ボーナス | 利用できる | 利用できない |
レバレッジ | 高め | 低め~普通 |
海外FX業者に共通して「ECN口座」のほうがスプレッドは狭く設定されているので、スキャルピングトレーダーに人気があります。
国内FX(固定スプレッド)で取引するメリット・デメリット
国内FX(固定スプレッド)で取引するメリット・デメリットを見ていきましょう。
固定スプレッドで取引するメリット
国内FXで多く採用されている固定スプレッドで取引するメリットは、以下の通りです。
固定スプレッドは変動スプレッドに比べ、スプレッドが常に一定なのでコスト計算がしやすいです。
海外FXでよく採用されている変動スプレッドは、取引環境により常にスプレッドが変わるので取引ごとにコストを計算しなければなりません。
しかし、固定スプレッドではいつ取引しても一定のスプレッドなので、初心者でも取引コストが計算しやすいのがメリットと言えるでしょう。
FXは、ほかにも相場や経済情勢など考慮すべき事項が多いので、スプレッドが一定であればFX初心者が慣れるにもおすすめな取引環境と言えます。
また固定スプレッドで基本的にスプレッドが変わらないので、変動スプレッドよりも安定した資産運用がしやすいのもメリットです。
相場の変動が大きいタイミングでもスプレッド手数料を多く支払う心配がありません。
固定スプレッドで取引するデメリット
固定スプレッドはあくまでも「原則一律のスプレッド」なので、相場環境が急変する場合はスプレッドが広がる可能性もあります。
取引回数が増えるほどコストが大きくなるので、スキャルピングがメインの取引では思わぬ出費になることもあるので注意が必要です。
海外FX(変動スプレッド)で取引するメリット・デメリット
続いて、海外FX(変動スプレッド)で取引するメリット・デメリットについて見ていきましょう。
変動スプレッドで取引するメリット
変動・固定を抜きにして国内FXと海外FXだけで比べると、国内FXの方が低スプレッドです。
しかし、スリッページが起きやすいことから追証も起こりやすいのがデメリットです。
一方、海外FXでは変動スプレッドで常にスプレッドが動いていても、ゼロカットシステムによりマイナス分が補填されるので追証が発生しません。
そのため、約定力が高い海外FX業者を選べば、追証も発生せず優れた取引環境でトレードできるというわけです。
変動スプレッドで取引するデメリット
変動スプレッドは、タイミングによってはスプレッドが大きく広がり、コストが高くなるのが最大のデメリットです。
主に流動性が低い日本の深夜・早朝の時間帯や、急激な値動きがあったタイミングにスプレッドが広がる傾向にあります。
スプレッドが狭いのみでFX会社を選ぶのは危険
FX会社を選ぶときに重要な目安となるスプレッドですが、スプレッドの狭さだけで選ぶのは危険です。
なぜ危険かというと、スプレッドが狭くても約定力(自分の意図したレートで売買が成立する確率)が低いとチャンスのタイミングで売買が成立できない可能性があるからです。
約定力の高い業者を選ぶときには、公式サイトを確認もしくは実際にでもトレードで約定力をチェックすると確実です。
また、海外FX業者によっては、スプレッド以外にも取引手数料を設定していることもあります。
FX業者のメインとなる収入源がスプレッドということもあり、極端に狭いスプレッドを設定している場合はスプレッド以外に手数料を徴収することもあるので、「すべてのコストを含んでいるか」を確認しておくと安心です。
まとめ
今回は、海外FXと国内FXのスプレッドの違いについて解説しました。
最後に、スプレッドの違いを簡単にまとめます。
海外FX:変動スプレッドを採用しており、単位は「pips」、口座は複数タイプから選べる
国内FX:固定スプレッドを採用しており、単位は「銭」、口座は一種類のみ
主に海外FXでは変動スプレッド、国内FXは固定スプレッドを採用しています。
そのため、初心者はスプレッドが固定でわかりやすい国内FX、スキャルピングやデイトレードがメインなら海外FXがおすすめです。
また、スプレッドとは異なりますが、海外FXのメリットとして約定力の高さも挙げられます。
スプレッドの狭さは業者選びでも大きなポイントですが、約定力が低い国内FXではスリッページが起きやすく思い通りの取引ができないこともあります。
スプレッドの狭さだけではなく、自分の取引スタイルに合わせて業者を選ぶことをおすすめします。