FX取引において借金のリスクがあるのは国内FXのみで、海外FXでは預けた証拠金以上の支払いは求められません。
この海外FXの仕組みを「ゼロカットシステム」といい、追証のリスクなくハイレバトレードが可能になります。
一方、国内FXではゼロカットシステムを採用していないため、証拠金維持率を下回ると追加支払い(=追証)が発生し、金額によっては借金を抱えてしまうという制度を採用しています。
そこで、今回はFXで借金を背負いたくない人に向けて、海外FXと国内FXで証拠金維持率を下回ったときの違いについて解説します。
海外FXと国内FXで証拠金維持率を下回ったときの違い
海外FXと国内FXは、取引において「証拠金維持率」を下回ったとき、大きな違いが生じます。
海外FXでは「ゼロカットシステム」によってマイナス分をFX業者が負担するので、実質的に借金を背負う必要はありません。
一方で、国内FXにはゼロカットシステムがないので「追証」が発生し、借金のリスクがあるのです。
追証はFX会社に対するトレーダーの借金で、支払いができないと損害賠償・資産の差し押さえとなってしまいます。
そのため、国内FXで高いレバレッジをかけた投資をした場合、余剰資金がないと支払いに追われる可能性があるので注意が必要です。
追証:含み損が一定基準を超えたときに追加証拠金を払わなければならない
追証は、含み損が一定の基準を超えたときに求められる「追加の証拠金」のことです。
追証が発生してから期日までに入金しないと、すべてのポジションが強制決済されるので注意が必要です。
なお、追証が発生する前に証拠金維持率が低くなるとお知らせしてくれる仕組み(=マージンコール)がでるので、サインを見逃さないようにしましょう。
マージンコールが出ても強制ロスカットにはならず、あくまで危険を知らせるアラートです。
ただし、マージンコールが出た場合には投資家は「追加入金」もしくは「ポジションの決済」をして証拠金維持率を回復させましょう。
国内FXでは1日1回、午前7時頃に出るため、必ず相場のチェックとともに確認しておくと安心です。
ゼロカットシステム:超過したマイナスを取り消してゼロにしてくれる仕組み
ゼロカットシステムは、預けた証拠金以上の損失が発生して口座残高がマイナスになったとき「マイナスを取り消してゼロ」にする仕組みのことです。
例えば、1,000万円をFX業者に預けていて1500万円の損失が出た場合、「預けたお金も含めて500万円分のマイナスがゼロ」になります。
口座に預けたお金も0円になりますが、大きな損失が発生しても追加で証拠金を払う必要がありません。
国内FX:追証が発生する条件
国内FXでは証拠金維持率を下回ると追加証拠金が必要(=追証)となります。
追証が発生するタイミングは、FX業者の営業日終了時点で保有しているポジションを維持する証拠金が足りない場合が対象です。
「証拠金が足りない=FX業者が定める一定基準を取引口座残高が下回る」状態のことを指します。
一度発生した追証は、相場変動によって自然に解消することはなく、状況によって証拠金を入金するといった対応が求められます。
追加で提示された証拠金を入金できれば、ポジションもそのままでトレードが続けられます。
しかし、期限までに入金しない場合は、すべてのポジションが強制決済されてしまい、タイミングによっては入金額以上の損失がでる可能性もあるので注意が必要です。
実際に2008年9月のリーマンショックでは、大暴落により一部のトレーダーが莫大な借金を抱えて大損するという事例が発生しています。
国内FXを利用する場合は、ロスカットが執行されず大損するリスクもあることを覚えておきましょう。
国内FXで追証がある理由
国内FXは「金融商品取引法」により、ゼロカットシステムを導入できないという縛りがあります。
金融商品取引法とは、投資家が安心して投資できる環境の提供や、取引の公正性・透明性を向上させることを目的に制定されています。
(損失補塡等の禁止)
第三十九条
二 有価証券売買取引等につき、自己又は第三者が当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者に申し込ませ、若しくは約束させる行為
三 有価証券売買取引等につき、当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者に提供させる行為
ゼロカットシステムは損失分の補てんと捉えられるため、禁止行為にあたり国内FXでは導入ができないということです。
海外FX:ゼロカットシステムで追証がない
海外FXでのみ導入されているゼロカットシステムは、いくら損失を出しても業者が残高をゼロに戻してくれる仕組みです。
とくに海外FXでは最大25倍以上のハイレバレッジが魅力で、大きな利益を得られる可能性が高いです。
一方で負けた時の損失も同じくらい大きくなりますが、ゼロカットシステムが導入されている業者では口座に預けている資金以上の損失を負うリスクがありません。
そのため、ハイレバレッジも追証の心配なくトレードできるので安心と言えるでしょう。
また、ゼロカットシステムは相場が急激に変動した場合にも大きな効果を発揮します。
相場の急激に変動したタイミングで口座残高を超える損失が出ても、追加で支払う必要がありません。
そのため、トレーダーは資金管理やレバレッジの取引に集中でき、自己資金を超える損失リスクの心配をしなくて済むのです。
ただし、ゼロカットシステムは良い面だけではなく、リスク管理を軽視しやすくなるというデメリットもあります。
マイナス分の支払いがないという安心感から、ゼロカットを繰り返して利益がなかなか出ないということにならないように注意しましょう。
海外FXがゼロカットシステムを採用している理由
海外FX業者はスプレッド(手数料)による収入がメインのため、トレーダーの取引がそのまま業者の収益に直結します。
トレーダーに取引を活発に行ってもらいたいものの、高いレバレッジでの取引は負けたときに大損するため、トレーダーに取引額を増やしてもらうためには安心して取引できる環境が必要です。
そこでゼロカットシステムを利用することで、高いレバレッジでも口座に入金した金額以上の損失が発生させないようにしているのです。
まとめ
今回は、海外FXと国内FXで損失が発生した場合に借金を背負うリスクがあるのかについて解説しました。
最後に内容をまとめます。
海外FX:ゼロカットシステムにより、損失分はゼロにしてくれるので借金を背負うリスクがない
国内FX:証拠金維持率を下回ると追証が発生し、マイナスになった分は支払いが必要
国内FXは、金融庁の規制によりゼロカットシステムを導入できないため、リーマンショック時には大きな損失を抱えたトレーダーが発生しました。
しかし、海外FXではリーマンショックのような相場の急激な変動でも、発生したマイナスを業者が負担するので追証の心配なく取引が可能です。
ゼロカットシステムは、リスクを軽減して安心に取引できる魅力的な仕組みで、初心者や小規模トレーダーにとって魅力的と言えます。
マイナスになる可能性を考えてFXを始められていない人は、この機会に海外FXのゼロカットシステムを使って借金の心配なく取引を始めてみてはいかがでしょうか。